(ほうきで床を掃いているセーラが見える…)「また来たんですか?全く…私は興味ありません。ただ運が良くて解けただけですから、気にしないで帰ってください。本当に。」その声に、エロースは自分の両手を広げて見せた。シワの寄った老人の手の上に青い花びらが徐々に美しく虚空で咲き誇った。花びらはやがてその数を増やしつつ雲まで覆い始めた。青いベルンの空を花びらが覆いながら、沈む様子だった。目の前の光景に驚いたセーラは口を開けたまま見ていた。「本物の魔法を見たことはあるかな?セーラさん。これはとても簡単な魔力式だ。想像して、付与し、具現化するだけ。しかし…それを直接目にした時、その全ての理論を越える何かを感じることができる。」エロースはとぼとぼ彼女に近づきながら笑顔を浮かべた。「そう、これこそが魔法だ。」「変化の魔法…か、簡単な魔法ですね。」「しかし、キミは一度も使ってみたことがない。魔力を扱う基礎を知らず、理論だけを理解してしまったのだからな。理論で知る魔法と実際に見て、感じ、経験するのは違う。」セーラは口をつむっていた。エロースが言った事がどういう意味なのか聡明な彼女はもう理解しているようだった。そんなセーラに向かってエロースは優しく手を差し伸べた。「ワシにキミを迎え入れる光栄をくれぬか?」 隠されたストーリーオブジェクト: - 1 魔法とは#1/3 - 2 魔法とは#2/3 - 3 魔法とは#3/3 |