消えていく命-爆発後12日目魔力の変異が、思ったより早く進行していた。塔の近くにいた患者の殆どは既に亡くなった。苦痛を軽減するため、幻影草の支給があった。拘束されていたゼナイルのシーリンからも研究の進行状況を聞いているが、大して力にならなかった。悪魔の魔力が混ざりこんな結果になったと、推測するしかなかった。医療スタッフも、逃れられなかった。連れて来た弟子の中、3人が命を落とした。救助活動を手伝っていた途中、大量の粉塵を被ってしまったのだ。自分の非力さが口惜しい。イレーネ嬢は手の甲が剥がれ、爪が抜け落ちる症状を呈した。帰りたいと泣いていたが、この魔力を治療する方法を手にする前は誰であろうがここから出られない。私は用意したサンプルから、何としてでも魔力を中和する方法を見つけなければならない。爆発後16日目ネベールが息を引き取った。最後まで私に、充血した目で叫んでいた。自分を実験動物扱いするなとも言った。答えられなかった。しかし、症状を和らげる事には成功した。ネベールから抽出した魔力構造を分析して、体の崩壊を防ぐ治療薬を作る予定でいる。計画通りなら…恐らく、可能なはずだ。少し恐ろしい気もする。左手が言うことを聞かない。右手が残っているので書き続けられるが、恐らくあまり時間が残っていないのだろう。急いで月の塔へ行かねば。(月の塔に最後の文章が残っている気がする。) 隠されたストーリーオブジェクト: - 1 言えなかった言葉#1/5 - 2 言えなかった言葉#2/5 - 3 言えなかった言葉#3/5 - 4 言えなかった言葉#4/5 - 5 言えなかった言葉#5/5 |