「其方の名は、何と申すのじゃ?」静かな問いが耳に届いたが、少年は何一つ話せなかった。父親に強いられて出場した剣術大会でうっかり優勝したばかりか、女王の祝辞まで賜ろうとは思いもよらなかったからだ。手を伸ばして、静かに自分を見つめる女王の姿に少年は慌てて叫ぶしかなかった。「ラ、ラ、ラハルトにございます!」「ラララハルトか、特異な名前じゃのぅ。」ベルンの女王、エアダリンが笑みを溢しながら発した言葉に、少年ラハルトは顔を赤らめるしかなかった。「まだ幼いのに、大した実力じゃ。将来なりたい事はあるのか?」女王の指先をそっと触れて、ラハルトは目を輝かせながら声を上げた。「騎士になりとう御座います!」「騎士か!」エアダリンは微笑んだ。「必ずや、そうなって欲しいのじゃ。そうなれば…」人々の盛大な拍手が聞こえてくる。ラハルトは自分に小さな声で囁く彼女の声に、ボ~っとした表情になるしかなかった。「其方は、わらわの騎士となるのじゃ。」 隠されたストーリーオブジェクト: - 1 騎士の誓い |